『涼宮ハルヒ』のリアリティ。

 もちろん、じっさいにはハルヒみたいな性格はありえないんだけれど、かんでさんのいう通り、深いところでリアリティを感じるところはあります。

 ハルヒのような人間性のもち主はいなくても、ハルヒと同じような孤独を抱えているひとはいないわけではない。

 そこらへんのリアリティが、一見するとただのご都合主義のライトノベルに過ぎない『涼宮ハルヒの憂鬱』を支えている。

 多くの平凡な日常に甘んじている少年たちにとって、ハルヒはヒロインというよりむしろヒーローなのかもしれません。

 ただ、甘やかされたヒーローですよね。彼女は本当の意味で人間性の孤独と向きあってはいない。SOS団によって保護されていて、一時的な幸福に浸っている。

 そこらへん、甘ったるい話だな、と思わないこともない。ただ、その甘ったるさがあの作品の魅力なのであって、一概に否定できるものではないとも思いますが。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)