三角形。

星の瞳のシルエット」なんですが、私が読んだのは実は大学生になってからだったりします。あるとき高校の後輩の女の子と「耳をすませば」の話をしていたら、「先輩、あのアニメが気に入ったのなら次はこれですよ」と薦められたのですね。どうやら、かんでさんはほぼ主人公たちと同年齢で読んだようですが、私は「こういう中学高校時代であっても面白かっただろうなあ」などと思いながら読んでいました。

 実のところ、チャットでかんでさんに「星の瞳のシルエット」の話を振ったにもかかわらずストーリーラインを憶えていなかったのですが、かんでさんのエントリでちょっとずつ思い出してきました。

 これ、私が面白かったのは、キャラクターというよりも構図(キャラクター相関図)だったりしました。最初からいきなり五角関係で始まるんですね。男二人と女三人の恋愛です。作品は中学時代から始まって高校時代で終わりますが、五角形だったのは中学時代までで、高校からはさらに複雑になっていくんですね。そんな複雑な恋愛関係を完結させようとしていることに度肝を抜かれました。

 いや、正確にいえば、冒頭は男一人と女二人を巡る三角関係なのですが、ここに男一人が加わって四角関係になるところが非常に好きです。加わるのは司くんですね。司くんが話に絡んできたところから俄然面白くなっていきます。

 司くんが加わろうとするときとき、司くんの幼なじみの沙樹ちゃん(三角関係に含まれていない)がこんな意味のことを言うのです。自分たち(女三人)は仲良しで、でも、今三角関係になっていて微妙な釣り合いが崩れようとしている。司がそこに入って四角関係になったら泥沼と化すから、どうか入らないでくれ。もちろん実際にはこんな口調ではありませんが、概ねそんな意味の想いを司くんに伝えるのです。確か、こんな感じの科白だったと思います。

「三角形を崩さないで」

 ここが好きです。

 かんでさんもこんなふうに語っていますね。

香澄ちゃんの場合、自分の恋の成就よりも親友との関係の復旧維持の方を優先したりするわけです。

 香澄ちゃんは物語の構造からしてこの話のメインヒロインですが、そのメインヒロインも女三人の関係を崩したくないのです。

 そして、崩れるか崩れないかの微妙な女三人の仲良し関係が崩れるのが中学校の卒業式です。ここは本当に見事に崩れます。あまりの見事な崩れっぷりに感動しました。これ、どうやって修復するんだよ、と。

 なんだか、登場人物たちの不幸を喜んでいるような感想になってしまいましたが、この話はあまり感情移入していないので、やはり関係性を見ることになってしまいますね。

 あえてどの登場人物が好きかといえば、司くんでしょうか。行動力や積極性が好きです。

 いやー、それにしても、かんでさんとは全く違う観点からの感想になりましたね。