社交型の才能と内向型の才能。

 返事がおそくなりました。

 ぼくの場合、そういう話になると、思い浮かぶのは、爆笑問題の太田ですね。太田って、お笑い芸人なのに噛みまくるじゃないですか。あんなに滑舌が悪い芸人はいない。

 それに、太田って話すとき、じっとひとの目を見てしゃべりまくるんですよね。たまに視線を伏せるほかは、ずっと自分のいいたいことをいっている。

 たぶん、太田には、話したいことがたくさんあって、自分のなかからそれがあふれて来るんじゃないか。だから、ひとが話そうとすることを遮ってまで話す。

 太田は、それこそさんまのような、コミュニケーション能力が高いタイプの芸人とは対極にあるタイプだと思うんですよ。でも、もちろん、太田には才能がある。

 太田にはどこか破滅の匂いがただよっていて、それがかれの魅力にもなっているんですよね。ぼくは爆笑問題の本もギャグもおおむね好きです。

 太田は立川談志を尊敬して、談志の前だと、あの倣岸な男がへいこらしていますが、たしかに、談志と太田は同じタイプだと思うんです。どこかに暗さを感じさせるものがある。

 でも、その暗さ、あるいは重さというものが、彼らの才能なんじゃないか。お笑いのような、一見、社交性を要求される世界でも、明るいだけのひとにはたどり着けない境地があるんじゃないか。

 談志はものすごく孤独そうに見えるけれど、太田には相方がいるから、その点は安心ですよね。太田がいくら才能があっても、一人では決してそれを発揮しきれない。

 もちろん、太田もそのことをわかっているだろうし、もしわからなくなったら、そのときは終わりなんじゃないか、と、思います。