天才という名の怪物。
やわ肌の 熱き血潮に ふれもせで 悲しからずや 道を説くきみ
『タイム・リープ』の若松くんは、あるかわいい女の子に利用されてから、女ぎらいになったという設定でした。
たしかにクールで天才肌のかれのような青年は、異性から見ると堕落させてみたいタイプかもしれません。ていうか、ツンデレ? ツンデレなのか?
たしかに天才は魅力的ですが、でも、同時に天才を描くことってむずかしいんですよね。下手な書き方をすると、「この程度の奴のどこが天才だ?」ということになってしまう。
天才の描写を支えるものは「謎」だと思います。横から見て何を考えているのかわかったら意味がない。
『Q.E.D』の燈馬くんは、一見すると冷たくも、優しくも見える少年ですが、それはあくまで氷山の一角、本当のところ何を考えているのか、親しい人間にもわからない。それがかれの天才らしさを支えている。
しかし、何を考えているのかわからない人間と付き合うことは不安を伴うわけで、かれの周囲の人間はいつも不安に付きまとわれている。
こいつは何者なんだろう? 普通の人間のように見えているけれど、本当は理解を絶した怪物なんじゃないか? かれと付き合っていくためには、その点を気にしない強靭な神経が必要とされるわけです。
そういう意味では、あたりまえの人生をあたりまえに生きる凡人にとって、天才とはかぎりなく怪物に近い。
『DEATH NOTE』の夜神月とか、『MONSTER』のヨハンあたりは、そういう「怪物としての天才」を描いているといえるでしょう。『すべてがFになる』の真賀田四季に至ると、怪物を通り越して神に至っているかも。
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