なぜ小説を読むのか。

 とりとめもないことをとりとめもなく書いてみる。

 ひとのこころのなかには、理屈ではどうしようもない、善悪では割り切れないものがあって、かれを楽しませもし、苦しませもせる。

 愛情とか憎しみとか欲望とか、ひとが一生抱えて生きていかなければならない「業」です。

 愛することは苦しい。憎むこともまた、苦しい。しかし、そういうものはどうしようもなく抱え込んでしまうものだし、それがなければ生きていくことも出来ない。生きることとは業を抱えこむことでもある。

 社会には法があり、倫理がある。しかし、どんな法も倫理も、本当にはひとのこころを縛ることは出来ない。それは善悪の彼岸にある。

 ぼくはその業の世界というものが、恐ろしくもあるし、たまらなく好きでもある。だから小説を読むのだと思います。人間地獄のその曼荼羅を見たい。

 そういう意味では、仏教にも興味があります。次は仏教の本を読んでみるのも良いかもしれない。